社会人となり吃音の克服と仕事のストレスについて

  • 2019年11月1日
  • 2019年11月28日
  • 吃音
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今回は社会人になってからの吃音を持つ私の体験を伝えたいと思います。

仕事として働く場にでることにより、環境もこれまでとは大きく変わり会社に貢献して給与をもらうことになりますのでプレッシャーを抱えながら初出社するのを楽しみにしていました。

新卒で入社したIT会社

大学時代に、授業で約1年程度プログラミングの基礎を学びまして、興味がありましたのでIT会社を選択しました。

吃音ならではの、人と接することが少なくパソコンを前にして黙々とプログラムを組むので他の人と関わることが少ないかなというのもありました。

入社して3ヵ月は新人教育ということで、ビジネスマナーとプログラミングの基礎を学びました。

新人の最初の大きな課題は電話対応

電話対応は吃音者にとっては1番きつい仕事になります。

普通に考えると下記のような難しさがあります。

  • 電話の対応次第で会社の印象を下げる可能性がある
  • 相手の表情がみえないため、相手の感情がわかりにくい
  • 沈黙の時間があると相手に不快な思いをさせる可能性
  • 相手にわかりやすいように伝える
  • マニュアル通りにいかない場合がある

吃音者ですと、まずどうしても電話の音が怖いと思います。電話対応だけは避けて通れない道なので、鳴らないにこしたことはないですが必ず電話は毎日なります。多少どもってもいいので、元気に明るい声でいうことを意識して新人の頃は対応しました。

やはり沈黙は発生しますが、これは仕方がないので経験していけば大丈夫です、最初は先輩職員もフォローしてくださいますし数をこなして慣れていきましょう。

ただ必ず落ち込むと思います。

私も電話対応して社長宛の電話で社長に繋いだ後に指導担当が呼ばれ、電話対応の仕方がよくなかったと指摘がありました。悔しい気持ちもありながら、吃音があるから何時か指摘されるのは予測ができていたことではありました。
先輩職員もきっと電話対応は苦手という認識はされていたので、一旦電話対応に専念というのは無くなりプログラミングの仕事をメインで行うようになりました。
当時の自分の心情としては、「やはり、こうなったか」という感じで会社に迷惑をかけて申し訳ないとういう気持ちよりも、こうなることを分かってた上で電話対応をさせた会社が悪いと責任転換していました。馬鹿だと当時の自分に言ってやりたいですね。自分に会社が投資をしてくれているのに会社のせいにするなんて最低です。

ただ、その後は少しずつ電話対応をしていく中で最低限のやり取りはできるようになりました。必ず電話を取らなくてはいけないというのがどもりやすい精神状態になっていたのかと思われます。

プログラミングの挫折

入社して半年で、地元の大手の企業に期間限定の契約社員ということで派遣されました。既に、その会社では先輩の職員が現場で高い評価を得ていて信頼されていたので追加人員が可能になったとのことでした。

工場の機械を制御するプログラミングを先輩職員と組むことになり、現場で自分と先輩とのレベルの差を思い知らされました。当時は日々の仕事をこなすだけで疲れきってしまい、本来であれば足りない知識を自宅で勉強しないといけないレベルでしたがそこまでできませんでした。

プログラミングが組めても、コードが汚くて他の人が見たときにわかりにくいものになってしまい、上司からも何を学んだのか何度も怒られたものです。私ができない分を上司がフォローしてくださりましたが、私のせいで残業させてしまっているのは自分が情けなかったです。

なかなか成果がだせず、半年間で本社に戻ることになり、ここからは新規事業の開拓のためプログラミングとはほぼ関係のない事業に携わることになりこれが大きな転機となりました。

新規事業での経験が人生の分岐道

入社2年目の春に転機が訪れました。これは吃音とは余り関係ないかもしれませんが、私にとって今でも印象に残る濃い時間でしたので書くことにしました。

春から新規事業のため、1人で博多の社長の知り合いのデザイン会社にいくことになりました。新規事業は1つの企業が単独ではなく、複数の企業が協力して行う事業でした。そこで出会った社長さんより出会った一発目に3分間の自己紹介を求められました。

初対面でしかも自己紹介とは面接みたいな感じで、私は体に緊張が走りまともに言いたいことを伝えることはできませんでした。
後々になって聞くと、当時は印象は最悪だったようです。ただ、指摘したことを乗り越えていき今ではここまで成長するとは当時は思っていなかったと言ってくださいました。この一言は、非常に嬉しく外部の方が評価してくれることは同じ会社の人から言われるより遥かに嬉しかったです。

中国に一ヶ月の出張で体調壊す

 

この新規事業の案件は、中国人の社長も関わっており中国に同行して2回ほど出張でいかせていただきました。

社長と一緒に行動できたことは、非常に大きな体験でもありましたし中国という文化に触れることができ考え方も大きく変化しました。
私が経験した一例です。

  • 上海から北京を夜行列車で移動
  • 田舎のホテルに宿泊した時にお湯がなく水のシャワーだった
  • 中華料理を堪能し、日本の中華と違いめっちゃ美味しかった
    (パイナップルご飯、火鍋は特に感動)
  • 通訳がいない中で1人、現地の言葉が通じない中国人と日中ジェスチャーで一緒に過ごす
  • 車で500kmの道のりを高速道路で3日ほどかけて移動
  • 高速道路でライトが付かないアクシデントの中、高速道路を走行される。死にそうなった。ある意味ジェットコースタの気分。
  • 日本では考えられないような、砂利道で舗装されていない道路で国境を超える
  • 滞在3週間したところで体調壊し現地の病院にて治療を受ける。中国でも田舎の地域にいたので大丈夫か不安でした

日本にいたら体験できなかったようなことを、たった一ヶ月程度で多くの体験をすることができ感謝しかありません。

当時は同じような体験をした新卒2年目なんて全国見てもお前しかいないと言われました。貴重な経験を活かしなさいと言われましたが、いまでも良い体験として残っています。

たいていのことでは動じないようになりましたね。はい。お湯が出ない地域や洋服もまともにない光景を見ると自分が裕福で仕方がないと思いました。

転職して介護の道へ

転職の理由に吃音は関係ありませんでした。

そう考えると、吃音よりも優先するものがあるんだと思いました。
社会にでて大切だと感じたのは下記の通りです。

  • 尊敬でき信頼できる上司
  • 賞与があるか(最初の夏だけ賞与ありましたが以降は不景気で賞与なし)
  • やりたい仕事内容であるか(3年働きプログラミングのセンスがないと実感)

吃音が関係している内容はまったくありません。

社会人なりたてに時に思っていたのは下記の通りです。

  • 吃音を受けいれてくれるか
  • 電話対応がうまくできなかったらどうしようか
  • 先輩と上手くやっていけるか

これが上手くいけば、社会人やっていけると思っていましたが実際に働くと全てをまずます達成できましたが、求めているものが変わっていくものですね。

介護職の仕事を選んだ理由

私が介護を選んだ理由はもともと興味があったからです。また、今後も必要とされる職業だと思ったからです。

当時は結婚を控えていた時期での転職でしたので、猛反対に合いましたがなんとか乗り越えれました。

介護って吃音者からしても苦手と思う業種かなと思います。だって、高齢者に対する接客業みたいなものですからね。

実際にいまでも、どもることは多くありますがそれ以上に利用者様の笑顔や同じ現場の職員に助けられ約7年続いてこれています。

自分に合っているか合っていないかでいうと、凄く合っています。ただ、問題としては他と業種と比べて年収が低い水準という点だけですね。これは私の勝手な推測でしかないですが、他の業種で同じような責任のある業務であれば年収100万以上は違うと思っています。

まとめ

最後に、私が吃音を自覚してから、かれこれ25年経ちました。

そんな私がいま悩まれている10代、20代に伝えるとしたらこの一言しかありません。

吃音は個性の1つである

と。

ゆっくり話すことは良いこと。でも、ゆっくりすぎると悪いことも。

やさしい人は好きだけどやさしすぎる人は嫌い

とか。

人それぞれ受け止め方は状況によって違うもので、吃音も良いときもあるし悪いときもあります。

前の記事で触れたかと思いますが、吃音者の良いところはこんなものがあります。

  • ゆっくり話しをする。早口にはなりにくい
  • 自分がどもるから、相手の話しを最後まで聞いてあげようとする心が育つ
  • どもっても、一生懸命に話そうとしていることは伝わる
  • 相手を思いやる気持ちが強い

例外として高齢者や年配の方と話す時は普段からゆっくりなのでこのペースで話すのが心地いいようで、変にゆっくり話しをしなければいけないと意識しなくても最初からできている。

例え悪いときであっても、これも自分の個性だと思うことが大切でそれを受け入れられない人とは付き合わないのが妥当です。
世間では最初は吃音者と出会うと「うん???」と戸惑うのが普通ですが、吃音者は良い人が多いからどもるぐらいで相手にしないってことは滅多にないと思いますよ。

どんどん、自分の魅力を良いところを伝えてみてください。当たって砕けろです。

最終的には、どもったていいじゃないかというくらいに自分自身で受け止める自分ができると思いますよ。

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