要介護2でADLが高く帰宅願望がある利用者様への対応を解説していきます。
施設職員で自由に歩き回れる認知症の利用者様への対応にお困りになることがないでしょうか?
入所施設に勤めて今年で9年目になり、最近入所された利用者様のケースで紹介します。
結論としては、電話で職員がご主人の役割をしてそこの施設に泊まるように伝えて少しずつ落ち着いてきて今は夕方の不穏はなくなりました。
・自立度が高い利用者様への帰宅願望の対応
・自施設で試した内容を紹介
今回の認知症のある利用者様の状態
- 要介護2 女性 80代
- 移動:自立、食事:自立、排泄:一部介助(1日に1回リハパン交換程度)
- 入浴:拒否あり
- 長谷川式:14点
- 認知症、短期記憶、宗教加入者
- 入所前はヘルパーが週2回自宅に入っていた。マンションに一人暮らしで毎日友人と外出されていた
比較的、自立度が高く認知症も進んでいないというのが最初の印象で体験のデイサービスでは帰宅願望なく、発言もあり楽しまれている様子の利用者様でした。
入所してから少しずつ認知症による物忘れや不安な様子が見受けられるようになってきた方です。
1人暮らしでしたが半年くらい前から電気代など支払いができておらず催促状が自宅に届いていました。
入所した翌日から玄関に居座り帰宅願望がみられる
入所して初日の夕方から帰宅願望がみられましたが、今日はここに泊まる旨を伝えると納得されましたが翌日以降は朝から帰宅願望がみられました。
本人の訴える内容
- マンションに帰って主人のご飯を作ったり家のことをしないといけない(ご主人は他界している)
- お金を後で返すからお金貸して。タクシーで帰るから
1番の帰宅願望の原因はマンションで生活している家族の心配でした。
毎日のように帰宅願望はあり、特に夕食後は荷物を整理されて1~2時間は玄関に座っている状態でした。職員が声掛けしても聞き入れられず外が真っ暗になったり疲れると今日は泊まるという認識になりお部屋で休まれています。
夜間帯に帰宅願望がでることなく、普通と思える日常生活を送られていました。
ご家族様を心配される利用者様への帰宅願望の対応
本人に認知症という自覚がないため、対応方法は職員と相談して情報を共有しながら対応していきました。
情報共有が凄く大切で、職員によって帰宅願望の声掛けの対応が違うと本人が混乱してしまいます。
私たちの施設がした対応の流れとしては下記になります
②電話で、「自宅のマンションが大規模改修工事することになったからそこの旅館(ホテル)にしばらく泊まっておいて」などと伝える
③認知症があるため、マンションが工事中というのは忘れてしまうものの「帰る」「帰らないといけない」と言われた際には、マンションがまだ工事中ですよと伝えると「そうだったわね。まだ終わらないの?」と言われ落ち着かれる。
※本当は長男様に協力いただいたらいいのですが、認知症の母親にどう話したらいいかわからないということで職員が許可を得て対応しました。
他にした対応としては下記になりますが、どれも余り効果はありませんでした。
- 元々事務員をしていたので、計算問題を不穏の時間にしていただく → 集中力が10分程度しか持たない
- 洗濯物を畳んでもらう → 洗濯中は良いのですが帰りたい余り急いで畳まれて追加を持っていくと怒りだす
まとめ
軽度の認知症の方では帰宅願望は施設入所すると、多く見受けられます。
事前にご家族様から利用者様の生活史など情報を収集はもちろんですが、細かいところは本人の帰宅願望の様子を伺いながら声掛けして探っていく必要があります。
利用者様の不穏が強くならないように、聞き出すというのは非常に難しいですが根気強く工夫しながら対応するのがいいと私は思います。
ただ、介護施設で宗教の話しは良いことではなく宗教を嫌っている利用者様もいるので場所や状況を見極める必要性はありますが、レクに参加している時よりも本人様が楽しそうにされるので支援としてはありかなと考えます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。少しでも帰宅願望の利用者様の対応の参考になれば幸いです。